北海道札幌市泌尿器科 坂泌尿器科病院
正常な排尿状態と排尿回数とは?
おしっこがしたくなってトイレに行き、構えてから間もなくおしっこが始まり
痛みや違和感もなくスムーズに出来、残尿感や尿漏れがない状態です。
正常成人では、 1日 4〜6回程度。夜間は 0〜1回となります。
男性の排尿障害を来たす主な病気は?
1)前立腺肥大症
2)前立腺がん
3)前立腺炎などの感染症
4)尿道狭窄
5)膀胱癌
6)尿路結石
前立腺の場所と働きとは?
男性の膀胱の下にある栗の実大の器官です。
前立腺の中を尿道が通っています。
前立腺は男性生殖器の一部で、精子を守ったり運動を助けたりする前立腺液を分泌します。
精液は前立腺の中を通る尿道から射精されます。
前立腺は男性ホルモンに依存しています。
前立腺肥大症
|
前立腺は男性特有の臓器で精液の一部を作る組織です。
膀胱の出口に尿道を取り囲むようにあり年齢とともに前立腺の内腺という組織が大きくなることが
あります。
前立腺の尿道に面した部分(内腺)が腫れてその結果尿道が圧迫され、尿が出にくくなる状態が
前立腺肥大症です。
前立腺肥大症は、年齢と深い関係にあり40・50代で症状が出始め60歳を過ぎると半数以上の人が夜間頻尿と放尿力低下を訴え65歳前後で治療を開始する人が多くなります。
80歳までには80%の人が前立腺肥大症になるとみられています。
前立腺肥大症は、食生活の欧米化等の要因により年々増加傾向にあります。
(厚生統計協会「患者調査」より)
◆前立腺肥大症の症状
憩室炎の痛み、左大腿
T期段階
夜おしっこで起きる。
排尿に多少時間かかかる。
残尿はない
U期段階
排尿障害がつよくなり排尿後に残尿がある。
時に尿が止まってしまう。
V期段階
尿でない。(尿閉)
大量の残尿が発生し、漏れてくる。
腎臓の機能に障害を与えることになります。
◆前立腺肥大症の検査
直腸診 (触診)
肛門から指を入れての診察です。
がんとの鑑別にも必要となります。
血液検査(血清PSA値の測定)
前立腺がんとの鑑別のために必要となります。
尿流量測定/残尿測定
尿の出る勢いと残尿量を測定します。
超音波(エコー)検査
前立腺の大きさを測定します。
尿路造影検査
上記症状の「U期段階/V期段階」が疑われる場合に行います。
◆前立腺肥大症の手術
経尿道的前立腺切除術 (TURP)
尿道から特殊な電気メスで腫れた前立腺の組織を切除します。
尿失禁漢方薬
レーザによる前立腺摘出術 (HoLEP)
レーザを使用し、腫れた前立腺を摘出する方法
◆HoLEPの手術とは
特徴
出血が少なく、術後の電解質バランスのくずれも無く、安全な手術です。
前立腺の全体を核出するため、残存腺腫がほとんど無くなるため、
再発がほとんどありません。
内視鏡の手術後は尿道を確保するため、管を入れて排尿を助ける処置が行われますが、その管が短期間で抜去することが可能です。
術式
@肥大した前立腺の内膜と外膜の境目にホルミウム・ヤグレーザーを
照射し、内膜のみをくりぬくように核出します。
A核出した内膜を、膀胱内に移動させます。
B前立腺組織をお全て膀胱内に移動させた後、モーセレーターという
機器を用いて、前立腺組織を細かく切断しながら吸引し、体外に
排出します。
HoLEPとTURPの比較
以前より前立腺肥大症の術式で「TURP」という術式があります。
内視鏡を尿道から通して、電気メスで尿道側から前立腺の組織を少しずつ切り取る術式です。
前立腺をみかんに例えると下記の図のようになります。
患者様の病状に合わせて、HoLEPかTURPを選択し治療を行います。
◆その他の治療
薬物治療法
前立腺部の神経に作用して排尿状態を改善する薬、植物製剤などで治療します。
高温度療法
前立腺部を50度で一時的に加熱する方法です。
◆前立腺がんとは
前立腺がんとは前立腺の中にがん細胞が発見される病気です。
欧米では前立腺がんは男性のがんの中で最も頻度が高い疾患です。
食生活の欧米化や高年齢化により日本においても頻度が高いがんとなっています。
初期段階では、無症状なことが多く気付かないうちに進行していることがあるため
50歳を過ぎましたら前立腺癌のチェックが必要になります。
米国における癌の部位別罹患率(男女;1997年)
がん種別患者予測数
◆前立腺がんの症状
早期がん
無症状
前立腺肥大症と同じような症状が出現
尿が出にくい
残尿感がある
排尿時に痛みが伴う
尿や精液に血が混じる
骨転位に伴い腰痛などに痛みがでてくる。
腰痛などの痛み
◆前立腺がんの検査
@スクリーニング検査
血液検査 (PSA)
血液検査で腫瘍マーカーを検出します。
簡便であることと、高い精度で検査することが可能です。
詳細は===========> クリック
直腸診 (触診)
肛門から指を入れての診察です。
"オフポンプ" CABGと制御された低体温のためにanesthsia
A確定診断 (病理診断)
前立腺生検
がんを確定するための検査となります。
エコーガイドの下に前立腺組織を採取し、癌細胞の有無を確認します。
麻酔を利用しますので、痛みは伴いません。
B病期診断
がんの進行度や広がりを確認するための検査となります。
MRI / CT
骨シンチグラフィー
◆前立腺がんの治療
@局所療法
放射線療法 (強度変調放射線治療、体外照射、小線源療法など)
放射線を照射して、がん細胞を死滅させる治療です。
手術に比べて身体的な負担が少なく、手術が難しい高齢の患者様でも治療を選択することが
可能です。
痛みなどの症状緩和を目的として治療することもあります。
放射線の強度を変えて照射する高度変調放射線治療(IMRT)により、直腸などへの合併症を
抑えることができるようになってきました。
同法人の脳神経・放射線科クリニックにて、前立腺がんの強度変調放射線治療(IMRT)を
行っております。
2008年より、高度先進医療から保険適用が認められ治療を受けやすくなりました。
詳しくは、こちらをご覧ください ----------→ クリック
前立腺がん放射線治療の動画 ----------→ クリック
根治的前立腺全摘出術
お腹を回復して前立腺の摘出を行う治療です。
根治的な手術として、以前より行われている治療です。
当院では、根治的前立腺全摘出術を行っております。
放射線療法の治療を含め、病気の症状によって治療を選択することが可能
となっております。
A全身療法
内分泌療法
男性ホルモンの働きを抑えて、前立腺がん細胞の増殖を抑制する"全身的"な治療法です。
身体への負担が比較的少なく、多くの患者様に有効です。
進行がんには、年齢にかかわらず第一選択となります。
化学療法
抗がん剤を用いてがん細胞を攻撃し、死滅させる治療法です。
一般的に前立腺がんにおける化学療法は、他の治療法では効果が得られない進行したがんに
対して行われます。
◆尿路結石とは
尿中のカルシウム、マグネシウム、尿酸などが腎臓で結石をなり、尿管や膀胱などにつまって
激しい痛みをおこす病気です。
◆尿路結石の症状
腎結石は一般に症状は起きませんが尿管に結石が落下すると脇腹の激痛や吐き気、膀胱炎の症状、時には発熱などの症状が出ます。
自覚症状は「疝痛発作」と呼ばれる激痛が特徴的です。
冷汗、吐き気を伴うこともあり、胃腸の病気と勘違いすることもあります。
あるいはまったく自覚症状がないとか鈍い痛みだけのこともありこれを「サイレントストーン
(沈黙の石)」と呼びます。
症状の違いは結石の大きさや存在している場所の違いによります。
七転八倒の痛みがあるときは「腎杯頚部」「腎盂尿管移行部」「尿管」などの狭いところに結石が詰まって尿の流れを阻害している可能性があります。
痛みは腎臓のある背部から脇腹、下腹郡へと拡がりますがしばらくして治る場合があります。
また男性では精巣、女性では外陰部にも痛みを感じることがあります。
さらに尿路の粘膜が結石によって傷ついた場合には血尿が出たり膀胱にある場合には頻尿や残尿感があります。
結石が「腎盂・腎杯」に留まっている時は痛みは無いか、あっても鈍痛程度となります。
しかしここで結石がサンゴ状結石のように大きくなりすぎ、「水腎症」など腎臓が機能しなくなるなどの合併症を引き起こすこともあります。
顕微鏡検査では血尿がほぼ全ての方に認められます。
また結石、特に感染結石により尿流の通過障害があると、腎盂腎炎から「敗血症」という怖い病気を誘発しますから速やかに医師と相談してください。
◆尿路結石の治療
ESWL (体外式衝撃波結石破砕術)
体外より衝撃派を結石に当て砕く方法です。
音波の一種である衝撃波を体の外から結石に向けて照射し筋肉や他の臓器を傷つけることなく結石のみを細かく破砕する治療です。
砂状に破砕された結石は尿と共に自然に体外に排出されその後の副作用や後遺症も少なく現在では結石治療の第一選択肢となっています。
内視鏡を利用しない術式であるため内視鏡では届かない結石の破砕に有用です。
衝撃波により結石を破砕することができない場合は、尿管鏡による破砕を行います。
ESWLは麻酔を必要としないことや、術後に尿道の確保のための管の装着が必要なくなり入院日数も少ない手術です。
尿管鏡による破砕術
結石まで内視鏡を利用し、 レーザーで石を破砕します。
腎破裂などの副作用はなく尿管結石に特に有用です。
内視鏡を利用するため術中の結石破砕状況を視覚的に診断できる利点がります。
尿管が狭い場合極端に腎臓が腫れている場合腎臓の形が複雑な場合などは手術が難しいことがありますので、医師にご相談ください。
腹圧性尿失禁
|
◆腹圧性尿失禁とは
腹圧の加わるような動作(咳・くしゃみ・重いものの持ち運びなど)により尿が漏れる状態です。
膀胱を支えている骨盤底筋群が弱くなり膀胱の出口が下降することが原因です。
出産年齢以後に増加しますが更年期以降さらに増加する傾向があります。
◆ 腹圧性尿失禁の治療
・薬物療法
膀胱の緊張を和らげる薬、尿道の抵抗を高める薬を使用します。
・運動療法
膀胱を支えている骨盤底筋群を強化する目的で行います。
・手術療法
薬物療法や運動療法で効果のない場合に適応になります。
◆ TVT手術について
腹圧性尿失禁に対する従来の手術は膀胱の出口を吊り上げて尿の出にくい状態を作り、
失禁を防ぐものでした。
これに対し新しい方法は尿道の内部にメッシュのテープを添えることで弱くなった骨盤底筋群を
補強し失禁を止めるものです。
お腹と陰部に小さな傷ができますが、治療効果の高い術式といえます。
0 コメント:
コメントを投稿